熱中症|高校生の夏、日射病に倒れた

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高校生の夏、日射病に倒れた

高校生の夏(1年生か2年生の時)、私は「日射病」に倒れた経験がある。夏の炎天下で陸上競技の練習をしていたときのことである。幸いにして、この時には顧問の先生に木陰に連れて行かれて少し休んだら回復したように思う。医者まで行った記憶はない。

これが「熱射病」と呼ばれる状態まで至ると、死亡する危険性が非常に高くなる。異常な体温上昇(時には40℃以上)があり、運動障害、意識障害(応答が鈍い等)などが出てくると危険だ。こうならないために早め早めの処置が大切である。

熱中症とは

最近、何かと熱中症が話題になることが多い。車に幼小児を置きっぱなしにしてパチンコに「熱中」するなどは論外である。それはともかく、熱中症とは、一般的に暑さ(高温環境)が直接の原因となって起こる症状の総称として使われている。その中で日射病とは、特に太陽の直射日光によって引き起こされるものをいうが、最近では、これも熱中症と表現されることの方が多いようだ。

スポーツなどの運動をすると筋肉などから熱が発生する。その量は安静時の10倍以上になることもあると言われている。生体側ではこれに応じて、皮膚の血管を拡張させてそこを流れる血液量を増やす。また汗を出して、余分な熱を身体外へ放散させる。このような生理的な仕組みによって体温はほぼ一定の範囲内に保たれる。この仕組みが高温下でうまく機能しなくなった時に熱中症に至る。

熱中症を防ぐには

人体の約65%(重量比)は水分が占めている。生命一般にとって水ほど大切なものはない。汗として体外に放出され放熱に使用された水分を直ちに補給することは、高温環境下で多量の汗をかいた時には特に重要である。

私の高校生時代、運動中はできるだけ水分を補給するな、という考え方の方が強かったかもしれない。部活動中は身の回りに水を入れたヤカンを必ず置いてはいたが、水分摂取の大切さについて考えることはあまりなかったように思う。

失われた水分は補充しなければいけない

  • 塩分をいっしょにとらなければ意味がない
  • 糖分もいっしょにとるとよい

運動時、必要に応じて水分をとらなければいけない、というのは必ずしも正しい表現ではない。水分と同時に塩分をとることが大切なのである。汗をかくと塩分もいっしょに失われる(汗はなめると塩辛い)。体内の塩分濃度が薄まったところに水分だけ補給すると、ますます塩分濃度(具体的には、特にNaナトリウム)が薄くなり、心臓の働きが弱ってしまうのである。

市販のスポーツドリンクには食塩(ナトリウムイオン)が含まれている。運動時にはスポーツドリンクを大いに活用するとよい。また、飲むタイミングは、のどが渇いたなと思った時ではすでに遅く、のどが渇いたと感じる前に、こまめに少しずつが理想のようである。

それでも山へ行くなら

私自身は、山でスポーツドリンクを飲んだことはない。いつもお茶を持参している。この前(2002年8月上旬)は、1リットル入りのタッパウェア2本にお茶を入れて凍らせておき、さらにペットボトル1本(500ml)のお茶を持っていった。そして、塩をなめながら行動した。水分摂取量が2リットルを超えると、ちょっとハードに行動したなと感じるようだ。摂取量(言い換えると残りの水分量)と行程を常に計りにかけて、エスケープすることも考えながら行動するようにしている。

出発前に体調を整えておくこと

  • 行動にあたって無理をしないこと
  • 休憩と水分(+塩分)補給をこまめにすること
  • 炎天下では直射日光を避けるために帽子をかぶること
  • 体の熱を効率良く外へ逃がすために風通しの良い服装を心がけること

など、安全で楽しい登山でありたいものです。

2002/08/11初出

山本明正(やまもと あきまさ)

1970年3月(昭和45)徳島大学薬学部卒(薬剤師)
1970年4月(昭和45)塩野義製薬株式会社入社
2012年1月(平成24)定年後再雇用満期4年で退職
2012年2月(平成24)保険薬局薬剤師(フルタイム)
2023年4月(令和5)現在、保険薬局薬剤師(パートタイム)