Akimasa Net >> エストリビューターへの道
文章主体の電子書籍の作成にあたっては、EPUB形式(特にリフロー型)を採用するのが今や当たり前になっています。
EPUB形式のファイルは、Webとファイル構造がよく似ています。コードを埋め込んだテキストデータとスタイルシートを組み合わせることによって成り立っています。
したがって、テキストエディタでコードと文章を打ち込みながら、EPUBファイルを作成してしまう猛者がいるかもしれません。あるいは、アマゾンKDPでは、Wordで入稿すればEPUB形式(この場合、正確にはアマゾンKDP用のmobiファイル)にきちんと変換してくれるようです。
そうした中で、シンプルで美しいコードを生成できるのが「sigil」を使う方法です。
ただしここで、sigilはEPUB2にしか対応していないとされており、気になるところです。EPUB2(2007年)は米国を中心として使われてきた形式です。それに対して、縦書きやルビなど日本語の文章に適応させたEPUB3(2011年)の系統があります。縦書きの日本語の文章をsigilを使って作成することはできないのでしょうか。
一般社団法人日本電子出版作家協会(EWA)の代表理事・細田朋希さんは「私の電子書籍テンプレートは数百名の著者様に提供され、そこから販売された電子書籍の流通総数はすでに10万冊を超えます。もちろん6年間、一度足りとも、エラーやクレームが起きたことはありません」と言っています。
細田さんはsigilを使っています。確かにsigilはEPUB3に完全に対応しているわけではありません。しかし、sigilでも縦書きやルビなどに対応することができます。コードとスタイルシートを組み合わせることによって、縦書きやルビなどでもエラーの出ないEPUBファイルを作ることが可能となります。
細田さん自身は、EPUB2.01とEPUB3の混合EPUBを作成しているのだと言っています。もちろん、この混合EPUBファイルは、アマゾンKDPやKOBOに入稿するのに何の問題もありません。
細田さんは、EPUB3作成ソフトの中で「『一太郎』と『でんでんコンバーター』は機能、使いやすさ共に優れています」と認めています。その上で、EWAの電子書籍テンプレートは「ビジネスとして電子書籍を実践することに最適化されています」とも述べています。
「6年と3,000万円超の事業投資の末に完成した電子書籍テンプレートと最強製本ノウハウ」を基にして、sigilを使ってスピーディーでしかもクオリティの高い電子書籍を作ることを目指しているようです。必ずしもEPUB3完全準拠にこだわっているのではないということでしょう。
公開日時: 2016年2月22日 @ 19:38